オリンピック開会式の機会に、日本国総理大臣とフランス共和国大統領は 7 月 24 日に会談 を行い、以下の共同声明を発出した。 

1 特別なパートナーシップ 

日本とフランスは両国を結びつける「特別なパートナーシップ」の重要性を再確認し、 2019 年 6 月 26 日に発出した「『特別なパートナーシップ』の下で両国間に新たな地平を開 く日仏協力のロードマップ(2019-2023 年)」がこのパートナーシップの実現の枠組みで あり、今後もこれを進展させるべきであることを強調した。 

2 オリンピック・パラリンピック(東京大会-パリ大会) 

両国は、新型コロナウイルスに打ち勝つ世界の団結の強力な象徴となる、東京オリンピッ ク・パラリンピック競技大会の開催を歓迎した。フランス大統領は、安全・安心な大会を実 施するための日本のあらゆる努力に対し、敬意を表した。日本は、安全・安心、持続可能 性、共生、アクセシビリティといった分野において得た経験を、2024 年パリ大会の組織委 員会に共有させることにコミットする。また、両国は、オリンピック・パラリンピックのよ うな大規模な国際的スポーツ大会の開催から得られるレガシーを一層活用するべく、緊密な 対話を継続していく。 

3 感染症・ワクチン 

両国は、6 月 2 日に日本と Gavi との共催で開催された COVAX ワクチン・サミットの成果 を歓迎し、また、カービス・ベイ(コーンウォール)で開催された G7 サミットの延長とし て、感染症の流行を克服するためには更なる国際的な協力が必要であることを再確認した。

両国は、世界規模でのワクチンへの公平なアクセス確保に関して、大規模に、効率的かつ速 やかに行動する必要性を強調した。これは、ACT アクセラレータ・イニシアティブの枠組み の中でのワクチンの開発・製造・展開並びに治療及び診断の開発・展開の努力に対する支 持、並びに保健システムに対する支持を含むものである。 
両国は、新型コロナウイルス感染症を巡る状況が改善することへの期待を表明し、ワクチ ンへの公平なアクセスの確保の重要性を想起した。COVAX に対し、フランスは 2.44 億ド ル、日本は合計 10 億ドルの資金拠出を行うというコミットメントを確認し、ワクチンの現 物供与については、COVAX の枠組み等で、フランスは 6000 万回分のワクチンの供給を、日 本は 3000 万回分を目処とした供給を行うというコミットメントをこの機会に改めて表明す る。両国は同様に、ビジネス目的の旅行者や学生などを含めた国際的な人的交流が、可能な 限り早期に再開することを期待する。 

4 インド太平洋 

両国は、包摂的かつ法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現の重要性を再確 認した。 
この文脈において、 

i) 両国は、共同で確認した「インド太平洋における協力案件リスト」(本共同声明 に添付)に列挙されているとおり、2019 年の「日仏協力ロードマップ」の実施に 関する進展を歓迎した。両国は、海洋安全保障、気候変動・環境・生物多様性及 び質の高いインフラといった優先分野において、インド太平洋の国々のための具 体的なプロジェクトに基づき、積極的に協力を継続することで一致した。 
そのために、第 2 回日仏インド太平洋作業部会及び第 2 回日仏包括的海洋対話を 可能な限り早期に開催することで一致した。 

ii) フランスは、インド洋委員会(IOC)の議長国として、地域間協力の強化に向け た優先課題を提示し、2020 年から IOC のオブザーバーである日本とのパートナー シップの深化を呼びかけた。 

iii) 両国は、2021 年 5 月の日仏米豪共同訓練「ARC21」を始めとして、最近の仏軍に よる日本での数々の展開が示す、両国の安全保障・防衛関係の発展を歓迎した。 両国は、防衛部隊間の関係強化を継続することにコミットした。 

iv) 欧州連合(EU)理事会における EU のインド太平洋地域での協力に関する戦略の 採択を想起しつつ、EU が、民主主義、法の支配、人権及び国際法の推進に基づき、 インド太平洋地域の安定、安全、繁栄及び持続可能な開発に貢献すべく、インド 太平洋地域において戦略方針、プレゼンス及び行動を強化するために、フランス は、2022 年上半期の理事会議長国として尽力する意向を表明し、日本はフランス のこのイニシアティブを高く評価した。 

v) 両国は、インド太平洋地域における東南アジア諸国連合(ASEAN)の重要性を再 確認し、ASEAN の中心性及び一体性並びにインド太平洋に関する ASEAN アウトル ック(AOIP)への支持を表明するとともに、ASEAN の優先的な協力分野と両立す る具体的な協力を追求することにコミットした。 

5 開発金融 

新型コロナウイルス感染症の流行により、未曾有の保健・経済・社会的な危機が発生し、 格差拡大や開発分野での成果が脅かされる中、両国は、とりわけ最も脆弱な国を支援しつ つ、世界規模で、グリーン、包摂的、かつ、持続可能な復興に向けた努力を継続していく決 意を示した。両国は、アジェンダ 2030 及びパリ協定に基づき官民の資金を協調させること を推進することで一致した。両国は、特別引出権(SDR)の一部を融通すること等により、 これらの国々、とりわけアフリカを中心とした国々のために 1000 億米ドルを動員するとい う G7 で共有された野心を再確認し、G20 のパートナー国に対し、この野心を達成するため の努力を強化するよう呼びかけた。 
両国は、新型コロナウイルス感染症後の最貧国の復興を支援するため、世界銀行グループ の国際開発協会(IDA) の野心的かつ成功裏の増資を行う必要性について一致した。 両国はま た、G20 の債務措置に係る G20 及びパリ・クラブの共通枠組の全ての関係者による、完全、 透明かつ迅速でオペレーショナルな実施の重要性を確認した。両国は、開発金融が公正で透 明性の確保されたものとなることが特に途上国にとって重要であることを認識し、全ての債 権者が公正で開かれた貸付慣行を遵守することを求めることで一致した。両国は、第7回ア フリカ開発会議(TICAD7)によって促進され、5 月 18 日のアフリカ経済の資金調達に関す る首脳会合の機会に議論された、アフリカの民間部門を強化する活動を継続することにコミ ットした。この関連で、両国は、アフリカにおける起業のためのアライアンスの活動の展開 への関心を確認した。 

6 気候変動・環境・生物多様性 

両国は、気候変動を外交活動の優先事項とする決意を示すとともに、特に、パリ協定の実 施ルールを完成し、パリ協定の目標を実現するために、国際社会の高い目標のレベルを気候 中立へと引き上げるための COP 26 に向け、この分野における協力を継続していく決意を表 明した。

両国は、気候変動対策は制約ではなく、イノベーションや雇用を創出する媒体であること を再確認する。両国は、温室効果ガス排出を削減し、気温上昇を1.5度に抑えることを射 程に入れ続けるための努力を加速させ、気候変動の影響から人々を守るために適応と強靱性 を強化させ、生物多様性の損失を止めて反転させ、これらの目標を達成するための資金を動 員しイノベーションを活用することにコミットするという G7 の決定を歓迎する。両国は、 開発途上国を支援しつつ、2020 年から 2025 年までの間に年間 1000 億米ドルの気候資金の目 標達成の重要性を想起し、他の国、中でも G20 のパートナーがこれらの努力を共に行うこと を奨励する。 
両国は、生物多様性条約の COP15 において、地球の陸・海域の 30%の保全目標や、実施と アカウンタビリティの強化メカニズムを含む、生物多様性の損失を食い止める新たな国際的 な枠組みの採択に向け、共に取り組むことで一致した。両国は、マルセイユで開催される世 界自然保護会議が生物多様性の保護を国際的な優先課題として掲げ続ける重要な機会である と認識した。 

7 経済 

両国は、イノベーションに寄与する新たな多岐にわたるパートナーシップを推進し、2019 年 2 月に発効した日 EU 経済連携協定、2019 年 9 月に署名された持続可能な連結性及び質の 高いインフラに関する日 EU パートナーシップや、2021 年 5 月 27 日に承認された日 EU グリ ーン・アライアンスなどによって日 EU 間でもたらされた展望を全面的に活用することによ り、経済・貿易関係をさらに強化する決意を示した。また、本年は東日本大震災から 10 年 の節目である点に留意し、EU による日本産食品の輸入規制措置撤廃に向けて、両国は引き 続き協力していくことを確認した。 

8 領事協力 

両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することにコミットする。
 

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